2018年5月28日月曜日

Linuxディストリビューションを選ぶ時に考えるべきこと

おすすめLinuxディストリビューションの記事がバズっていたのですが、的を得ていない気がしたので初学者用に選び方をまとめてみました。 考えるべき事と、考える手順は以下だけで良いはず。

1. パッケージシステムを選ぶ

LinuxディストリビューションはおおまかにDebian系、RHEL系、BSD系、Slackware系、その他の5つに分類できます。 この一番大きな差はアプリを手軽にインストールするために利用するパッケージシステムの違いで、以下のようになっている。
  • Debian系: apt
  • RHEL系: yum, dnf
  • BSD系: port
  • Slackware系: pkgtool, slackpkg, sbopkg

パッケージシステムの違いで重要な事はライブラリの依存解決をしてくれるかどうか。 してくれないとどうなるかというと、バージョンの違うライブラリをうっかりインストールした時に、アプリが動かなくなる事がある。 依存解決してくれるパッケージシステムは極力エラーが起きないように裏で頑張ってくれるのでメンテが簡単。
上記の中でSlackware系だけは依存解決をしてくれないので、少しハードル高い。上には書いていないけどGentooなども同様です。 もっともSlackware系やGentooを使う人は必要最小限のアプリしか入れないサーバ用途などが多く、 割り切って使っている人が多いだろうと思われる。

依存解決さえしてくれればあとはパッケージ名の違いやコマンドの違い、それらによって生じる設定やディレクトリ構造の違いくらいで、好みの面が大きい。 ただユーザ数が多いほどバグ報告量やネットの情報量が大きくなるので、ユーザ数が多いシステムを私はおすすめしたい。 つまり2018年現在ではapt > yum,dnf >>> port > その他の順序です。


2. メジャーリリース速度とそのサポート期間を選ぶ

次に◯◯系の中でどのディストリビューションを選ぶかという話になりますが、ここで重要になるのはメジャーリリース速度とそのサポート期間です。 メジャーリリースはWindowsで言えば7→10、2000→XPなどのバージョンアップの事で、通常リリースよりサポート期間が長いのが特徴です。 速度が早いほど新しい機能をすぐ使えるようになる反面、依存解決のバグを踏むリスクが増える。 特にディストリビューションの多いRHEL系とDebian系を再分類すると以下のようになる。

メジャーリリース速度:
Fedora (半年) >>> Debian系 (2年) > CentOS (3年)
最長サポート期間:
CentOS (10年) > Debian系 = RedHat (5年) > Fedora (1年)

Fedoraの場合、通常リリース=メジャーリリースなので凄い速度でバージョンアップします。 Fedora以上の更新速度は地雷を踏む可能性がかなり高い。 最近は使ってないのでわからないですが、私は過去にFedoraで地獄を見た事があるので軽くトラウマがある。
Debian系のメジャーリリース速度で依存性が壊れる事はまず起きない。 メジャーでないアプリがたまに動かなくなる事はあるが特に困らないレベルだし、 壊れてもすぐにアップデートされる。 開発者やライトユーザはこれくらいの速度のものを選ぶのが自然だと思う。


3. 通常リリース速度とそのサポート期間を選ぶ

Debian系のディストリビューションはどれもメジャーリリースの扱いはどれも一緒ですが、通常リリースの扱いが違います。 通常リリースというのはメジャーリリースの間で行われるアップデートの事です。 メジャーリリースが4.0→5.0なら、通常リリースは4.0→4.1のようなもの。

通常リリース速度:
Debian (随時だが概ね2-3ヶ月単位) > Ubuntu = Linux Mint (半年)
最長サポート期間:
Debian, Linux Mint (5年: 次のメジャーリリースまで) > Ubuntu (1年)

細かくアップデートしたければDebianやLinux Mintのほうが良く、大きな更新単位で済ませたければUbuntuとなる。 Ubuntuは通常アップデートのサポートが1年で切れるので、DebianやLinux Mintのほうが手厚いサポートをしていると思います。 ただこの点はそれほどネガティブ視はされていないような気もしていて、 どちらかと言えば以降で述べるデスクトップシステムだったり搭載アプリのほうがデスクトップユーザには大きいみたい。 もっともここまでに書いたようなメジャーなディストリビューションではない場合、 そもそも通常リリースはきちんと行われてメンテされているか、メンテの継続性に問題はないかという事についてはきちんと考えるべきです。


4. カーネルのバージョン

すべてのLinuxはLinuxカーネルを基盤に作られています。 このバージョンの高さは最新ハードへのドライバの対応状況をほぼそのまま反映するので重要です。 ドライバが対応していないとどうしようもないものとしてはプリンタやUSB、Bluetooth、ビデオドライバなどでしょうか。 現時点での最新のカーネルバージョンの採用状況を見てみましょう。

ディストリビューションリリース日カーネルのバージョン
Fedora 282018/05/014.16
CentOS 7.52018/05/103.10.0-862
Debian 9.02017/06/174.9
Ubuntu 18.042018/04/234.15
Linux Mint 18.32017/12/154.4 (Ubuntuに依存)

CentOSはカーネルのバージョンが極めて低く新しいハードへの対応が貧弱なので、普通はサーバ用途などにしか使わないほうが賢明でしょう。 サーバ用途もかなり限定されると私は思っているけど。 FedoraやDebian、Ubuntu、Linux Mintのように最新のカーネルに追随していればデスクトップ用途にも耐えると考えられます。

ただLinuxカーネルのバージョンも完璧ではなく、PCの世界は今でもWindowsが中心に回っているのが現状です。 特に新しいノートPCはWindows向けにしか対応していない特殊なチップや、OS/ドライバレベルでの機能がたくさんあります。 こういった機能は当然使えません。 最近進化の著しい省電力化機能やビデオドライバなどには特に注意したほうが良いでしょう。 このような新しい機能が使いたい場合は事前に調査するか、利用できない事も想定すべきです。 カーネルのバージョンの違いによる機能差については良いまとめがあったので、これを参考にすると良いかも。


5. デスクトップシステムを選ぶ

ここまで決まった後に最後に選ぶのがデスクトップシステム。 例えばUbuntu系のKubuntu、Xubuntu、Lubuntuというディストリビューションは、 Ubuntuのシステム上でKDE、XFCE、LXDEというデスクトップシステムを使ってカスタム化しているだけです。

デスクトップシステムはかなり選択肢が多いので、ここで悩む人は多いかも知れない。 他にもCentOSやLinux MintではLXDEを公式サポートしていなかったりするので、このような対応状況はディストリビューション選びにも影響が出てきます。 そんなこんなで私もデスクトップシステムの比較についてはいくつか記事を書いている。


細かい事を言えばもっと色々な違いがあるとは思いますが、普通はこれくらい見ておけば事足りるんじゃないかと思います。 最後に私がLubuntuを使うようになった経緯でも書いてみましょう。
  1. Fedoraのyumが軽くトラウマになった事でDebian系のaptが天使に見えた
  2. CentOSのメンテが止まりそうな時代があってUbuntuに引っ越した
  3. 気付いたらUbuntuの隙がなくなってきて馴染んでしまった
  4. LXDEは今でもCentOSやLinux Mintの公式サポートがない
  5. でもDebianなら動くよなあ…次回はDebianに戻してみようかなあ…
こんな感じです。今となっては4以前は気にする必要はないかもですが、同じような人は結構居そう。

2018年5月26日土曜日

フリゲ紹介: Selenite

Seleniteは結構前にプレイしたローグライクですが、あまり知られていないので紹介してみます。

フリゲでトルネコの大冒険や、風来のシレンのようなローグライクと言えば、JNetHackやディアボロの大冒険、Elonaなどが有名です。 今回紹介するSeleniteはこういった作品と同じくらいハマりました。 気が向いた時に思い出したようにプレイしていたのですが、ついにクリアできたので記念紹介。



基本的な仕組みはトルネコの大冒険とよく似ていてシンプルですが (左下)、主人公の成長ツリーを自在に操れるのが大きな特徴になっています (右下)。 どのツリーを成長させるかで様々な遊び方ができるので何度も楽しめる。



私はいつも30/50階くらいまでは進むのですが、私はその辺りで暴発する事が多い感じ。 私がクリアしたEasyモードでも40階くらいからは攻撃も厳しくなってきて、モンハウを引いたりしてしまうとなかなか難しい。 ローグライクはたいていの作品は諦めてしまうのですが、絶妙なゲームバランスのせいか飽きなかった。 JNetHackのような鬼畜さはないので、いつかまたやってみようと思ってしまう感じ。 見つけてから最近まで、かなり長い付き合いのある作品ですね。

唯一欠点があるとすれば、セーブが一時終了以外にまったくできないところでしょうか。 常に不正なしの一本勝負。 ただ非常に面白い作品と思うので、是非プレイしてみてほしいです。

2018年5月16日水曜日

モバイルOSを比較しつつ動向・情勢をまとめてみた

Windowsタブレットを貰ったのですが、どうにも使いにくく別のOSをインストールしてみようと思いました。 しかしタブレットPCに野良OSを入れようとしてもネットの情報も雑然としていて、正直理解するのに凄く時間が掛かる。 そこで思考の整理のためにモバイルOSの情勢を軽くまとめてみました。

まずタブレットに使えるようなモバイルOSは以下が選択肢になると思います。 他にもスマートウォッチ用のOSとして WearOS, WatchOSなどありますが、こちらはひとまず割愛します。 今回はあくまでスマホ、タブレット用のお話。


上記の中でChrome OSは、実際には2種類あります。
  • Chrome OS: Chromebookに搭載されているOS
  • Chromium OS: ソースコードが公開されたOS、ダウンロードできるのはこちら
中身はほとんど変わりませんが、私のようにWindowsタブレットに別のOSを入れたいような場合にはChromium OSを使います。 Chrome OSはなかなか凄くて、そのOS上でUbuntuやCentOSなどのLinuxをインストールする事もできます。 最近はChrome OSに最適化されたGallium OSというディストリビューションまであるみたい。


またAndroid OSとChrome OSの違いですが、使い勝手や実装の違いは結構あるので、まずはそこでどちらかを選べば良いと思います。 ただChrome OSではAndroidアプリがサポートされ (※Chromium OSではない)、Androidができる事はChrome OS上でだいたいできるようになりました。 上記に述べたLinuxを追加インストールできる差もあるので、私はChrome OSがAndroid OSの上位互換のようにも見えてきています。
もっともこれは何とも言えなくて、GoogleはChrome OSやAndroid OSの次のOSとしてFuchsiaを開発中なんですが、 FuchsiaはChrome OSとは異なりLinuxカーネルに依存しなくなり、Android OSとは異なりGPLやJavaに依存しなくなる予定のようです。 つまり今は結構不安定な状況にある。 この根源にある問題は後に再度取り上げますが、Java特許Linux特許で苦労している事にも関係している事だと思います。 Linuxカーネルに依存しないのであれば、Fuchsia上でLinuxが動くかどうかよくわかりません。 Androidアプリは、Android OSとiOSの両方で動作するクロスプラットフォームのコードを作成するプロジェクト: Flutterがあるので、こちらは大丈夫そう。 あと対応言語もC/C++, Dart, Go, Rustになっており、これは将来のプログラミング言語動向にも大きな変化を起こすのではないかと感じました。 長くなるだけなので、何となくそんな感じという事でお茶を濁しておきます。


残りのOS、WindowsやiOSについては語る必要もないと思うので割愛しますが、フリーなOSはどうなっているのでしょう。 私が事前に知っていたのはTizenとUbuntu Touchだけでした。 ネットでマイナーなOSをかき集めると思ったより色々なOSがあったので、ざっくりと特徴をまとめてみました。
  • Tizen: サムスン主導、6社くらい共同開発のLinuxベースのOS。Androidアプリも動作。
  • LineageOS: AndroidベースのOS。公式OSにはないカスタム機能が色々と付いている。
  • AliOS: アリババ主導のAndroidベースのOS。カスタム機能が色々と付いている。
  • Ubuntu Touch: UbuntuのLinuxベースのOS。ただし今はUBportsが開発を継承。
  • Sailfish OS: ロシアとノキアの流れを汲むLinuxベースのOS。Androidアプリも動作。
  • Librem: セキュリティと自由を主張したLinuxベースOS。Androidアプリも動作。
  • Plasma Mobile: KDEのLinuxベースのOS。
  • postmarketOS: 古いスマホでも動く事を目指したLinuxベースOS。まだまだ開発中。


まず最初に言っておくべき事は、マイナーOSは残念ながらどこまでもマイナーOSという事です。 NetMarketShareでスマホやタブレットなどのOSのシェアは簡単に調べられるのですが、 どちらも見事なまでにAndroid OSとiOSの複占市場になっている。 そのような問題もあって、Android OSとiOSへの依存度を減らしたいロシアはSailfish OSを支援しているみたいです。 インドやアジア、アフリカのスマホ新興国だけでなく、ラテンアメリカや日本、中国への進出も見せており、Sailfish OSの今後は注目すべきかも知れません。

ただAndroidベースのOSは、集計の時に同じAndroid OSとして判定されてしまうせいか、マイナーかどうか判断が難しいところがあります。 良い例がAliOS。 AliOSは紆余曲折があり過ぎて名称が不安定ですが、Yun OSとかAliyun OS、雲OS、阿里巴巴OSといった開発コードの流れを汲むOSです。 OSベースで見ると中国でもAndroid OSが主流ですが、この中には相当量のAliOSユーザが居る事は想像できます。 Wikipediaによると2016年の出荷数から推定すると中国で2番目に大きいシェアを誇っているそうです。 これだけシェアを持っているとAliOSの場合、マイナーなのは中国専用OSだからというだけかも知れません。 1600人のエンジニアを投入して開発したという規模感も、かなり参考になる数値なので合わせて載せておきます。

このような地域別OSの流れは今後も強くなっていくかも知れません。 マイナー過ぎるので比較欄には載せませんでしたが、インドでもIndus OSという国産OSを作る流れができています。インドは他にもKaiOSというOSもあり、インドでは既に4000万台以上も出荷されているようです。 Androidに次いで2番目に人気のあるOSになっているとか。
今後アフリカOSなどが生まれてもおかしくないと思いますが、アフリカでは既にSamsungとNokiaが2大シェアを持っており、さらに第3位は中国資本のTecno Mobileが居ますから、アフリカでは露中韓がシェアを握り続ける可能性もありますね。 そうなれば今後人口が増えていくアフリカでのこれらの国の影響力はさらに大きくなると思われます。
ところで北朝鮮でも色々なOSを作っているみたいです。こういうニュースを見てると、特許では勝っていても技術面では既に日本を上回っていても驚きません。


なぜ中国OSが流行ったのかは、ガラケーに多少ヒントが隠れているように思います。 一世を風靡していたかのように見えるガラケー=フィーチャーフォンですが、フィーチャーフォンはたいていノキアのSymbian OSで作られていました。 ガラケーを生産していた日本企業はいわゆる組立屋やアプリ開発屋でしかなく、昔からリーダーシップはありません。 それにも関わらず日本企業が国内で大きなシェアを保っていたのは、OSを作っているノキアが日本市場にリーチできる端末を販売しなかった事が大きいでしょう。 仮にノキアが日本市場に端末ごと進出していたら、おそらく日本企業の入り込む余地はもっと小さかったはずです。

このような世界と国内のギャップというのが基本的には重要なのだと私は考えています。 中国はITに関しては常に障壁を作っていますが、これは国内産業にとっては非常に好影響のある政策です。 Android端末にももちろん障壁があります。 中国で米国製のAndroid端末を使っても、コンテンツプラットフォームであるGoogle Playは中国からは使えません。 当然使いものにはなりませんから、ここに中国OSが根付く環境がもともと合ったはずです (端末はコスト影響のほうが大きいかも?)。 ケータイ端末の販売会社は2018/2現在でアップル以外には中韓企業しかない現状 (ガートナー調査) ですが、 中国のこういった特殊な情勢が変わった時、ケータイ業界はまた大きく動く可能性があります。 フィーチャーフォンでリーダーシップのあったノキアもスマホOSの登場で、シェアを50.8%→3.1%まで一気に落としました。 その後、Microsoftの買収鴻海の買収を経て、今ではAndroidスマホを作るようになったり、ケータイ事業は思っているよりずっと激しいものです。


実際、最近は徐々に変化の兆しもでてきています。 米国は政府契約企業のHuawei、ZTEの機器の使用禁止にしました。 中国端末の攻勢を見ていればいつかは来る制裁だったとも言えると思います。 GoogleでさえもJava特許Linux特許Microsoft特許で苦労している中、少なくともOSに関して一番利益を得ているのは中国かなと思ったりしますし、中国の知的財産侵害に制裁関税の発動もまた、いつかは来る制裁だったように思います。 中国のソフトウェアにはスパイウェアが頻繁に含まれている事は周知の事実ですが、スマートフォンにも含まれている可能性がある事も、この問題を難しくしているように思います。 OSの在り方や端末の在り方にも影響がある話だと思うので、今後どうなっていくのか興味は尽きません。

2018-12-05追記: さらにChrome OSが徐々にシェアを伸ばしている事を受けてか、MicrosoftもWindows Liteという新OSを開発中だそうです。 まだどのようなものかはわかりませんが、期待したいですね。 他にもIBMがRed Hatを買収しましたが、どちらもコンテナというOSの1つ上のレイヤを手掛けている企業です。 RedHatは今でもOSを手掛けていますし、IBMは昔はノートPCの製造もしていた。 この辺りも何か面白そうな事がありそうですね。 何となくの予想ですが、近い将来、OS周りは結構動くんじゃないかと思っています。

2019-03-05追記: ファーウェイがAndroidに代わるスマホOSを開発中というニュースが入ってきました。 中国の技術力的に作れないはずはないので「ついに来たか」と思う一方で、とても凄い事で、今後どうなっていくか楽しみです。 ARK OSという名前になるらしい。

2019-06-04追記: iPadのOSが、iOSからiPadOSになるらしいです。 個人的にはうーんという感じですが、色々な狙いは読み取れ、大変な時代になったなあという印象があります。

2019-08-15: Harmony OS (鸿蒙 OS) という名称で、ファーウェイが新OSをリリースしてきました。 カーネルからきっちり書いているみたいで、OSS としてソースも公開されました。 C# で作っているのは最初は意外でしたが、Java特許を回避しつつ、2012年から開発だとRust/Goは採用しにくく、C# は妥当と思いました。 C# が Apache License なのも、もしかすると採用の理由にあったかも。



最後に実利用についてですが、タブレットなりスマホのOSはメンテナンスされていないと結構怖い代物なので、 マイナーであればあるほど、メンテナンスを将来的にも維持できるかどうかが私は気になります。 この一番わかりやすい例と思ったのは、Androidアプリのサポート。 LinuxベースOSではAnboxを利用すればAndroidアプリが最低限動きます。 ただ昔Ubuntu上で遊んでみた時は激遅だった記憶もあり、使いものになるかはわからない。 そのためAndroidアプリを使うにはAndroidベースのOSか、互換性まで気を回しているOSのほうが良いはずです。 しかし互換性はGoogleに遅れて追随するしかないため、多くのOSはここに辛みが出てくる事が予想できます。

このような情勢を踏まえた感想ですが、 Chrome OSは現時点ではシェアも低い状態ながら今後Linuxユーザの利用が増えてくるのではないでしょうか。 少なくとも私はかなり良い選択肢かつ、良い立ち位置のOSと思いました。 Chrome OS自体は超が付くほどシンプルな設計なので、そのメンテナンスは他のOSより遥かに楽と思います。 そのOS上でLinuxが動いてくれるなら、サポートに不安のあるマイナーなLinuxベースOSを使う理由は少なくなります。 おまけにAndroidアプリも動くとなれば文句がどこにもありません。

Fuchsiaでどうなるかわからないところが怖いですが、 現時点ではタブレットPCならChrome OSを入れておけば良いんじゃないかという空気を私は感じました。 まあタブレットPCは教育、カタログ表示、データ取り、注文システムなど業務に使っている人のほうが多いのかなとも思っているので、 Chrome OSの特性が必ずしも流行に繋がるとは限りませんけど。 ただ日本はともかく、米国では教育用PCの60%はChromebookと言われていますLinuxとシームレスに連携できるので当然とも言え、この流れは継続すると思います。 米国でも安さは正義でしょう。

モバイルOSの情勢に変化があったら、このページは適宜加筆修正をしていくつもりです。

2018年5月5日土曜日

Ubuntuデスクトップ比較: 18.04でもLubuntuが軽量で最高だった

Lubuntuを16.04から18.04へメジャーアップグレードしてみました。

普段なら初期バグが消えてからゆっくりメジャーアップグレードするのですが、 Ubuntu 16.04はカーネルの問題によりサスペンドからの復帰時にフォントが崩壊する問題があったので、珍しく早期導入。 このバグは17.10で解決されていたようなのですが、できればLTSを入れたかったので18.04には期待していました。 この症状に困っている方は18.04にすると幸せになれるかも知れません。



それはさておき、さっそく18.04系列のメモリ使用量の確認をしてみました。 今回もマニアックなもの (ex: その1, その2その3) は抜きにして、apt-getでインストールできる公式フレーバーなデスクトップの比較のみです。 Kylinは中国人向けなので比較対象外にして、Budgieを新たに比較対象に加えてみました。 以前と計測方法は変わらず、 起動→安定後のメモリ使用量をタスクマネージャで確認してみました。 クリーンインストール時ではなく、色々インストールした後のメモリ使用量です。 16.04→18.04のメモリ使用量は以下。
  • Ubuntu: 943MB→1311MB (1144MB)
  • Ubuntu GNOME: 882MB→Ubuntuへ統合
  • Kubuntu: 1185MB→1562MB (1492MB)
  • Xubuntu: 851MB→1019MB
  • Lubuntu: 538MB→571MB
  • Ubuntu MATE: 820MB→895MB
  • Ubuntu Budgie: 1467MB (1211MB)

全体的にメモリ使用量が微増していますが、特に標準Ubuntuは1311MBと凄くメモリを食うようになりました。 ただこれGNOME Shellのメモリリークのせいだと思うんですよね。 GNOME Shellを再起動し再計測すると1144MBと減り、他のデスクトップの増分と同程度になりました。 標準UbuntuはGNOME Shellでカスタマイズ性が抜群に向上したので、今後どう進化していくかは少し気になる。

KubuntuやUbuntu Budgieもメモリ使用量が凄い事になっている。 なぜかと思って確認してみるとデスクトップ検索用のプロセスとしてbaloo_file_extractorが550MBほど専有していました。 私はデスクトップ検索とか使わないしなあ。 これをOFFにすればメモリ使用量がXubuntu並に減るのではないかと思い、balooctl disable && balooctl stop で切ってみました。 しかしそれでもは専用プロセスが色々走っているせいで、メモリ使用量はあまり下がりません。 Kubuntuに至ってはデスクトップなのにMySQLを走らせており、メモリ使用量が減る訳がない。


Lubuntuは相変わらずの最軽量で、私は相変わらずのLubuntu推しです。 メモリ使用量はほんの少し増えましたが、16.04よりキビキビ動くようになった印象もあり、慣れてくるとデスクトップとして非常に使いやすくて良い。

ただUbuntu MATEもかなり良い選択肢であるように思います。 Ubuntu MATEはUnity廃止に伴い、既存Ubuntuユーザ向けのUnityライクなランチャーとしてMutinyを新規提供しています。 この高機能化ぶんを考えるとメモリ使用量は抑えられているし、デスクトップの完成度も元々高い。


もっともLubuntuを使うような軽量志向の方はランチャーも自前で用意したほうが良いと思います。 おすすめランチャーは3つほど。

2018年5月1日火曜日

フリゲ紹介: ムラサキ劍

ムラサキ劍は、魔王物語物語ムラサキいりす症候群!といった名作を輩出してきたカタテマさんの新作シューティングゲームです。



前作からおなじみの海浬さん (左下) と沙月さんを操る点や、基本システムはあまり変わっていません。 初めての方には自弾で敵弾を掻き消したり、画面中のブロックで連鎖すると敵にダメージを与えられる点が特色と言えるでしょう (右下)。 ムラサキとムラサキ劍の一番大きな違いは、ブロックに接触してもダメージを受けなくなった事と、ブロックの出る確率が増えた事でしょうか。 プレイ感覚もそれに伴って結構変わっているように思いました。



まずムラサキ劍の弾幕はとにかく濃いです (下)。 ムラサキはシューティングらしい弾幕だったと思うのですが、 ムラサキ劍くらいまで弾幕が濃密になってくると、いかに弾幕を消すかというパズルゲームのような要素も強くなってきます。 スピード感のあるいりす症候群!のような感じですね。



弾幕も少し変わってます。 シューティングゲームは基本的に進行方向からの攻撃が多いと思います。 前作のムラサキもそのような弾幕が多かった気がするのですが、 ムラサキ劍では左右からの濃密弾幕 (下) など他のシューティングではあまり見ない弾幕も結構出てきます。 普通のシューティングだとこれをされると反撃できなくて詰む事もでてくる訳ですが、 ムラサキ劍だとブロックの連鎖を利用して反撃できるので成立する。面白いですね。



シューティングのようでパズルのような、新鮮な感覚でプレイできた作品でした。

フリゲ紹介: ダーリン菊一文字

ダーリン菊一文字は、影明かしや武神の目覚めといった名作を輩出してきたfoomalさんの新作。 VIPRPG 紅白2017で2位だったサクサク探索RPGです。



影明かしや武神の目覚めではオリジナルキャラでしたが、今回はVIPRPGのアリサが主人公となり、仲間を集めつつ伝説のネギ探しに出ます (下)。



foomalさんの作品はどれもサクサク気持ち良くプレイできるように配慮されています。 今回もシンプルな探索RPG、シンプルな戦闘システムですが、飽きる事なく一気にプレイしてしまいました。



アリサの顔からもわかるように影明かしや武神の目覚めよりライトな作品で、短時間でしっかり楽しみたい方に向いていると思いました。