今回はN国を政治的視点ではなく、その成功パターンをITの世界と照らし合わせた考察を、メモとして残しておきたいと思います。
まず先に取り上げた動画では、間接民主主義と直接民主主義のねじれを何とかして「NHKをぶっ壊す」というシンプルなことだけを主張しています。 間接民主主義と直接民主主義の違いは、企業とプロジェクトの違いとしても、よく言われることですね。 どちらにも良し悪しはあると思いますが、プロジェクトには一点を貫く力がありますし、最近はその力の重要性を様々な場所で見られるようになりました。 一番大きいのは「言ってることとやってることが違う」が起きない強さだろうと思います。 N国が1議席を手に入れられたのは、プロジェクトベースの主張の強さを示した結果なのかも知れません。 政党要件を満たすために選挙区に37人も候補者を立てた執念も、凄まじいなと。
さらに馬鹿にならないと思ったのが、インターネットで賛成/反対を募って完全にそれに従うという、思想上は超クリーン (※注) なシステムを引っさげてきた点です。 技術をベースに物事を語る政治は日本では少ないので、馬鹿にはできないなと思いました。 そして自分の主張以外はすべて多数派に従う (下) ためほとんどブレが起きないので、強い。
これ一見ふざけているように見えますが、プロジェクト駆動開発の本質は、プロジェクト以外は多数派の意見を飲む(飲まざるを得ない)という事なので、まったくブレてないし、めちゃくちゃ効率的な考え方ではあります。 細かなことに政治思想が介在しないためクリーンで、多数決の民意をそのまま反映するのでコスパが非常に良い。N国の政治姿勢は?
— れいけん (@paddock_watcher) July 21, 2019
立花「もうNHKと敢然と立ち向かっていきます!」
それ以外のことについては?
立花「自分の意見に関係なく、多数派の意見に、とにかくついて行きます!」
(司会者も含め絶句) pic.twitter.com/n9gYPE2QK5
注: ただ実際にはインターネット投票を超クリーンにするのは非常に難しいです。 既にある程度のシステムはできているようなので、運用し始めることはできるのだろうと思いますが、インターネット上でIDを1対1で結び付けるのはすごく難しい。 マイナンバーを使うくらいしか、解決策はないように思う。
どうやって完璧なものを作るのかは、N国のことをあまり知らないので疑問に思ったのですが、 そのようなシステムを予算内できちんと作ってくれるなら、1票を投じる価値はあると思いました。 おそらくそこに期待した人が、一点突破の力を信じて投票したのでしょう。 それともネタ放送でネタ投票したのでしょうか。
2019-08-18: YouTube のアンケート機能を使い始めていましたが、これだといかようにも不正が起きてしまいそうなので、うーんという感じ。
仮に前者であれば、日本の選挙においてもプロジェクトベースの仕組みが力を発揮する可能性が出てきたのかも知れません。 私はインターネットやITの世界は、少なからずプロジェクト駆動開発=直接民主主義が一定量の進化を促した側面があると思っています。 ここを否定するエンジニアの人はあまり居ないんじゃないかな? そのようなITの過去に照らし合わせると、N国の1議席をネタとして考えるのは、ちょっと違うのかも知れません。 そもそも馬鹿正直にシステムの素晴らしさや、変えるべきことを論理的に熱く語る政見放送にしても、注目を浴びることはなかったんじゃないでしょうか。
まあ実際どういうことになるのかは蓋を開けてみないとわかりません。 「主張さえ通せばそれで良いんだ」では済まないところも当然出てくるとは思うので、そこがどうなっていくか次第な気もします。 最初の1年は政府要件の返済に当てる必要があるとして、2年以内にシステムを整備して運用してきたら面白いかも…? 3年やっても投票システムが運用できないようだとちょっと…と思いますが、さてどうなるか。 また仮に直接民主主義が一定量増えたら、間接民主主義がどのように扱われていくのかは、地味に興味があります。
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