2019年1月14日月曜日

QRコード決済と過去の歴史

QRコード決済の記事がどんどん増えている。 QRコード決済はクレジットカードやPASMO、Suicaが実現してきた事と何ら変わらないと私は思ってるけど、インパクトの大きさの差はある。 一応は過去を振り返って、現状を整理してみようと思った。



まずなぜクレジットカードやPASMO、SuicaよりQRコードなのか。単純に値段の問題です。


1. クレジットカード

クレジットカードの加盟店手数料は色々な種類があるので一言では言えないけど、10%取られる事もあるらしい。 逆にコンビニでは1%らしいのでかなり不平等なシステムになっていると思う。 これに加えて決済手数料が3〜10%くらいらしい。ようするに最大20%くらい手数料を取られる。 逆に大手だとその半分以下は当たり前なのだろう。 仮に20%の手数料を取られてそこから何らかのロイヤリティで20%引かれるとすると、 それだけで利益の40%が持っていかれる事が確定する訳だ。 これでは個人事業者はまあ儲からん。入れてないところが多いのも当然ではある。

2. PASMO, Suica

PASMO, Suicaは導入費用が公開されていないんだけど、10万円掛かるとか。 詳細はよくわからない。加盟店手数料は3-4%らしい。決済手数料も調べても全然わからない。 確かな事は何も言えないんだけど、仮に決済ごとに3%の手数料が掛かると、平均6-7%ほど取られる計算になるが、クレジットカードと比較すれば大きな進化である。 他にも何かあるかなと思っていたら、増田がバズっていた。 確かに審査の厳しさなども課題の1つにはあったのかも知れない。QRコード決済は結構緩くなっている。

3. QRコード決済

ではQRコード決済はどうかというと、もうサービスが増え過ぎて調べるのも面倒なんだけど、 PAY.JP, Origamiなどの競争力のある企業では、初期費用も加盟店手数料もなく、決済手数料3-4%だけで取引ができる。 ようするに20%→6-7%→3-4%と、かなり安い価格で取引できるようになったのだ。 Squareとかでも機材を用意すればこれくらいの価格で取引できたんだけど、QRコードになった事で機材も不要になった。 そして何より国際的にもメジャーだから、競争原理が働きAPIも価格もオープンになっており、現時点で最も安い決済手段になっていると思う。 QRコード決済に限らず、少額決済は海外の方が圧倒的に進んでおり、決済手数料3-4%で取引ができる。

4. 少額決済 (蛇足)

本来ならQRコード決済より前に小額決済が海外では普及していた。 しかし日本で少額決済が流行らなかったのは、日本では法律的に個人間送金ができない問題があったからだろうと思っている。 この特定商取引法に基づく表記の問題があるから、個人利用が意外と難しくてそこで困っていたのが少し前の話。

他にも少額決済は資金の移動が派生するから、決済事業者にとっても資金移動業の登録をしないといけなくて大変だったのだ。 Paypalが日本で個人間送金ができるようになったのはなんと2018/10/25から。日本展開にたぶん15〜20年は掛かってる。 このように世界の覇者Paypalでさえ苦労している国が日本なのだけど、気付いたら電通が主導するKyashとかの認知度も上がってきている。 Kyashは送金サービスではなく、個人間ポイント送信サービスである。 この肝は、いかにして送金じゃない事にするかという話である。 お金を送ると違法なので、お金を送らずポイントで送り、出金はできないようにしたりした。 日本の大企業が法律の穴を突付いてくるようになるとは、時代は変わったものだ。

そもそもKyashが出るより前の、もやもやとしている時にnoteとかBUYMAが出てきたけど、これらのスタイルが許容されているのは割と大きな進化ではあったように思う。 noteでは特定商取引法に基づく表記が不要なケースもあるBOOTHとかでもこの手の話はたまに上がるけど、昔のマインドよりは緩くなったような気もする。

5. 仮想通貨 (蛇足)

送金じゃない理論には他にも色々なものがあって、Bitcoinとかの仮想通貨も同じだと思う。 Bitcoinは通貨じゃないから個人間での交換ができたけど、証券業界が参入した事で通貨の価値が馬鹿みたいに上がって、送金手数料が馬鹿みたいに掛かるようになったりした。 価値もとんでもなく変動するし、通貨価値の証明やトランザクションの問題があり、通貨としての利用は難しいと私は思うのだが、ハッキング事件も含め数多くの闇を経て、暗号資産という名称に定着する事になった。 数多くの闇を抱えた割には大手の少額決済基盤にもあまり採用されておらず、普及していない印象がある。

6. 個人間取引

ここで改めて個人間取引についても言及しておこうと思う。 なんと個人間取引は消費税が非課税なのである。 だから多くの人がそこにこだわるのだろう。 これも個人間取引の課税強化議論というニュースもあって完璧なものではないのだけど、少なくとも現状では個人間取引を行う事によって、消費税ぶんだけの競争力を得る事ができるのは、割と大きなポイントだし、これによって仕事の効率化が進むのは良い事だと私は思っている。 ただ年間の売上が1000万円を超えると事業的規模になるので、特定商取引法にも関係してきて、事業者としての登録が必要になる。 儲かったらきちんと税金を払いましょう。


話が何度かそれたけど、QRコード決済が爆発的に増えたのは、クレジットカードやPASMO, Suicaと比較して、事業者にとって手数料が少なく利益に繋がりやすい (と思われている/思わせている) 点が大きかったのかなという気がする。 そして個人間取引によって行えば、消費税を掛けずに済むという税制上の利点も、個人の人気には繋がっていそうだ。 楽天のスタジアムでのキャッシュレス決済の原則化は象徴的に思う。 うまく個人委託すれば税金も安くなるし、作業時間が減れば売上も増える。 ただ現状のQRコード決済はちと手間が多いというか、色々な問題があるとは思っていて、それについてはまたいずれ書くつもりである。

最近はQRコード決済だけでなく少額決済もPaypalの時代からするとかなり整備されてきて、こちらも若干だけど賑わっているように思う。 QRコード決済の普及に伴って、日本でもようやく少額決済が流行るかも知れない。

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