2019年3月7日木曜日

本気で使い倒す人のためのプリンタ選びまとめ

急場しのぎで適当に購入したプリンタが色々残念で本気でプリンタ選びをしたので、まとめてみます。 ちなみに「本気で使い倒す」の意味は、年間5000枚以上は印刷するガチな人にも対応できるという事です。 普通の人にも参考になるとは思いますけど。


1. 印刷コストを正しく予測しよう

まず最近の家庭用プリンタは、ここ数年で割とインクのコスト感覚が変わりました。 A4印刷で効率の良い順に方式を並べると、だいたい以下のようになる。 これは印刷率5%のモノクロを想定して補正を加えています。 時代と共にコスト感覚は変わるので参考値ですが…。

種類モノクロ印刷コスト (円/枚)
エコタンク (互換)0.15-0.7
エコタンク (純正)0.3-0.7
レーザー (リース)0.7-1.2
インクジェット (互換)1.0-3.0
インクジェット (純正)3.0-10.0
レーザー (互換)2.1-3.2
レーザー (純正)2.5-4.0

ちなみにこの図表、そのまま比較しては駄目です。 まずリースは印刷枚数に応じて契約価格が変わってきて、1.0円/枚が標準と思います。 月に何万枚も印刷するようなら0.7円くらいで契約できるのかも知れませんが、そんなに印刷するのは出版社くらいでしょう。 平凡な事業者は1.0円/枚以上での契約しかできないはずです。

また家庭用プリンタの印刷コストですが、公表価格はメーカーごとに想定がバラバラという事には注意が必要です (なので先程の表で補正が必要だった)。 モノクロは5%の印刷を想定したメーカーが多いように思うけど、カラーの印刷想定はバラバラに感じます。 カラー/モノクロの印刷コストは印刷率が一緒なら実はたいして変わらないので、私は想定にブレが生じにくいモノクロで比較しています。 また比較が面倒なのでメーカーごとの想定を以下にまとめます。想定の記載がないメーカーも結構ある。 モノクロも印刷率が5%の想定で正しいかは上記の想定ページを見て確認しておくと良いでしょう。 おそらく最大でも公表値の2倍を見積もっておけば十分とは思います。


2. モデルから利用シーンに合わせて選ぼう

製品を選ぶ時には、コスパや印刷速度が良いものを利用シーンに合わせて選びましょう。 例えば私は、以下のような想定でコスパを測定してみました。
基本利用はモノクロのみ、印刷は常に互換インクを利用
印刷コスト (1枚/円)=モノクロ印刷コスト (紙面の5%印刷) 
買い替えサイクル (年)=耐用枚数 / 年間印刷枚数 (12000枚)
年間コスト (円)=(プリンタ価格+印刷コスト×耐用枚数) / 買い替えサイクル
びっしり埋まっている資料などを印刷する場合は、印刷コストはもう少し高くても良いかも知れません。 年間印刷枚数は職種に合わせて調整してください。

このような割とガチめな印刷スタイルでは印刷コストが馬鹿になりませんから、エコタンク対応モデルを念頭に製品を選ぶ必要があります。


3. コスパで製品を比較しよう

上記のコスパ方程式を用いて、執筆時点のエコタンク対応モデルをすべてまとめました。 エコタンクはまだそんなに商品が多くないのですべて比較する事ができる。 またインクジェットとレーザーのコスト感を知りたい人も多いと思うので、価格.comで一番の売れ筋だった商品を比較してみました。 見るのが面倒な人は右端の年間コスト (円/年) を見るとすぐにコスト比較ができます。

メーカー型番印刷コスト価格.comAndroid
Linux
印刷速度
(ipm)
耐用枚数年間コスト
EPSONEW-M770T0.5/253782o/o135万枚15908
EPSONEW-M630T0.4/238644o/o155万枚12475
EPSONEW-M571T0.4/231723o/o10.53万枚15089
EPSONPX-S160T0.3/217879o/o155万枚6091
EPSONPX-M160T0.3/227210o/o155万枚8330
EPSONEP-M570T販売なしo/o5万枚
EPSONEW-M660FT0.4/246440o/o13.75万枚13546
EPSONEW-M770T0.5/251548o/o135万枚15371
CanonG33100.3/0.926599o?/o?8.8記載なし19199
CanonG13100.3/0.917025o?/x8.8記載なし13455
BROTHERDCP-J988N0.7/128793x/x12記載なし25676
BROTHERMFC-J1500N0.7/133801x/x12記載なし28681
BROTHERMFC-J6999CDW0.7/177940x/x22記載なし55164
BROTHERMFC-J6997CDW0.7/166670x/x22記載なし48402
ここまでがエコタンク対応モデル
EPSONPX-049A9.9/3/45139o/o?記載なし12983
CanonTS81309.9/3/414980o/o?記載なし18888
RICOHC260L2.516980x/x209万枚32264

検証条件の補足: BROTHERは大容量インクとは言えカートリッジなので、これをエコタンクと言うのかは若干の疑問があるけど、念のため入れておきました。 印刷コストの /x の記述はAmazonで測定した互換インク/純正インクの割引係数です。 耐用枚数に記載がない場合は2万枚 (よく聞く数値) で計算したので、あまり当てにはしないでください。 ちなみにHP、富士ゼロックス、RICOHなどにはエコタンク対応モデルが今のところありません。 色違いで値段が異なるものがあった場合は最高値を採用しています。 価格に絡む話はすべて2019/02/28時点のものなので、多少変動があると思います。

ドライバの対応状況は私にとって割と重要なので入れました。 EPSONのLinux対応はここから確認しAndroid対応はここから確認しました。 Linux/Androidは機能が制限されている事もあるので対応状況はよく見たほうが良いです。 印刷速度はモノクロを基準にしています。 エコタンク対応モデル以外は価格.comで人気の高いものを適当に選んでいますが、モノクロの印刷コストが載ってない場合、A4カラー印刷の数値/3で計算しています。 レーザーは耐用年数が載っているものに限定し、印刷コストが載っていないので2.5円としました。


考察: リースの値段は色々ですが安くても8,000円/月〜くらいはするので、速度面で問題が生じない限りは家庭用でも良いかも知れません。 EPSONのように純正インクが高いメーカーは、互換インクを使うとかなり運用コストを下げられるので、思っている以上にコストが下がります。 安価なインクジェットも本体は安いんですが、印刷速度、耐用枚数/耐用年数には注意が必要です。 耐用枚数にコスパがほぼ依存するので、使い倒すつもりで利用する場合、一瞬で壊れる可能性を考慮すると少し怖い。

エコタンクのモデルが良いところは、印刷速度と耐用枚数が明記されてる型番が多いのが良い点です。 ロングランを想定していない家庭用インクジェット、例えばPX-049Aなどは本気で使うとたぶんすぐ壊れると思いますし、壊れても「使用上限を超えてるから仕方ないよね」と言われればそれで終わり。 なので耐用枚数が明記されてるほうがずっと安心して買えます。耐用枚数以下で故障すれば不良品ですから。 エコタンクはロングランしないと効果が出てこない性質上、耐用枚数のないモデルの購入はしたくない。


ちなみに私は何を購入したかというと、PX-M160T を買いました。


PX-M160TPX-S160T はモノクロしか印刷できないという漢仕様ですが、その割り切りが良いですね。 PX-M160Tはスキャナも連続コピーもでき、Android/Linuxでも使えて、意外と高速な印刷ができ、ポイント高い。 こういう尖った製品を出してくれると、消費者としては嬉しいです。


モノクロしか印刷できないのは困るという人には、EW-M630Tが良さそうです。


ちなみに実際に使ってみてどうかですが、PX-M160Tは常用していてもかなり使い勝手が良いです。 公表値で印刷速度が1/2の安物プリンタを持っているのですが、体感速度では5倍くらい違います。 あと標準設定だと濃過ぎるくらいに印刷されるので、常に濃度を50%以下にして使っています。 これ印刷コスト0.08円くらいだよなあ。思ってるよりずっと安くなると思います。 なかなか良い買い物だった。

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