2019年10月11日金曜日

イギリスに学ぶ日本の影の金利

日経新聞で影の金利なるものを知ったので、少しだけ調べてみました。 影の金利は「量的緩和の下で採用された政策と同様の効果を政策金利の低下によって実現した場合における政策金利の水準」を推定したものであるらしい。 「緩和効果をすべて利下げに置き換えたらどうなるのかを示す指標」のほうがわかりやすいかな。 原文は論文巡りをしないと完全理解できないので、色々な日本語のサイトを参考にさせて頂いて、ほんのり理解に留めました。

まず影の金利による結論から言えば、米国が合理的な数値にコントロールしているのに対し、EUと日本はコントロールできていない。 特に日本は金利とのギャップが酷く、政策金利が-8%くらいのレベルまで量的緩和をしている。 実際にそんな金利にすると銀行が大変な事になるので、金利は大きく動かさず、日銀当座預金残高を増やして量的緩和を広げていますが、うまく行っているようには見えない。 これには色々な要因が絡み合っているし簡単ではないし、一言でも語れません。

私の解釈では、ほとんどの統計は計算方法の問題があり、統計は「こう計算すれば良い」と勝手に解釈できる余地が大きいと思ってます。 たとえばデフレータの計算は、庶民の意識に相当したものになっているかどうかが凄く大事だと思う。 その解釈が合っているかの検証になるのが、影の金利とも言え、このような検証に足りる精度を測定して運用することが、統計の運用だろうと思います。 アメリカの統計は理論と実践から検証してもだいたい正しく、そのためアメリカの統計で逆推定する記事もちらほらあって、私もそちらのほうが正しいと思ってる。 基幹統計も解釈次第で天と地ほど状況変わるから。


とは言え、この影の金利はどうするべきなのでしょう。もしくは他国はどうしたのでしょう。 影の金利関連の記事から辿って NZ 中央銀行のデータを見ていて、イギリスのグラフが気になりました。 回線の影響で重いため引用します。最新データは原文をどうぞ。 イギリスも影の金利が瞬間的に-8%まで行ったものの、今では0%付近に調整されている。 イギリスは日本と割とよく似た国であるため、参考になるのではないでしょうか。



イギリス復活 (?) の要因が何であったかはとても重要なことに思い、色々と調べてみました。 イギリスは2011年くらいまで労働組合の解体、製造業の海外移転があり、 そして2012年の移民政策の移民人口は影の金利とかなり一致しているように見えます。 移民政策で影の金利がゼロになるくらいまで賃金が変化した結果、影の金利がゼロに近付いたということでしょう。 -8%もの影の金利は政策金利でのコントロールは不可能だし、確かに移民は政策金利より効果が大きい。たぶん。 日本も普通に考えれば同じことが起きると思います。

イギリスは人口6600万人くらいのうち、950万人が移民と言われています。 イギリスの移民人口は毎年20-60万人増えています。適当に均して考えると10年で400万人。 流出人口からすると2倍くらいのペースで変化しているので、10年で800万人くらい変わったのかな。 社会が8%変化するためには500万人必要で、だいたいその数値に収まるし、500万人を超えたくらいで影の金利もゼロに戻ったように見える。パッと見では。


日本はイギリスと異なり慢性的な不景気だし、工業国過ぎる問題があるので、 維持したまま同じことをやると、もっと人が必要な可能性はあります。 仮にそのへんは無視して考えれば、1000万人の移民が必要とわかります。 ただ今のところ270万人しかいないし、10年間で70万人ほどの増加でしかないので、果てしない道程に感じる。

あと金利だけを見ていると見逃してしまいそうですが、移民とブレクジットの関係は少なからずあると思います。 影の金利をコントロールできない EU とコントロールできたイギリス。その違い。 理論だけでなく現実にも目を向けていくとなかなか興味深い。 思いの外、面白い知見が得られて良かったです。

他にも最近割と衝撃的なニュースとして、トヨタが利回り0%の社債を発行するとか。 これも一つの方法かも知れませんが、褒められたものではないと思います。 水面下では気になることが色々起きている。

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