中国や韓国、シンガポールの塾事情が熾烈であることは有名ですね。 日本とは比較にもならない。 小学生低学年から夜10時まで勉強と言われていて、さすがにやり過ぎ感はあり、それが良いこととは思いません。 多少の是正にはなるのではないでしょうか。 ただ正直びっくりですよね。
良い機会なので海外の塾や学校の事情に目を向けてみましょう。 ちなみに世界の塾事情は、以下のページが割と詳しいです。 より詳しくはネットで検索してみると、色々な情報が得られます。
ヨーロッパ: 選別型
ヨーロッパは何度もやり直しができる国と、バッサリ選別される国があります。 ヨーロッパに塾や予備校はほとんどありませんが、幼少期から進路を選別される国では、補習塾のようなものはあるらしい。 このページではドイツを例に挙げていますが、結構同じスタイルの国は多いです。 何度もやり直しができる国も、デンマークのように入職年齢を下げる狙いで一部是正を始めている国があります。ヨーロッパ: 何度でもやり直せる型
イギリスや北欧などでは、いくらでも先取りできますが、いくらでも遅れることもでき、そして何度でもやり直しができます。 聞こえはいいですが、小1から留年が当たり前にあるので、しないように自立学習が必要になってきます。 結果だけみれば職業が安定するのが30歳以上のことが多く、問題は多いです。 自由と自立に重きを置いているのはわかりますが、塾がないことが本当に良いことかはわからないところがあります。塾はほとんどないと聞きます。 しかしイギリスの富裕層では大英帝国の歴史などを汲んで家庭教師の比率もそれなりにあるため、塾のような存在がまったくない訳ではありません。 塾のほうが家庭教師よりずっと効率良いから、単純に歴史の差ではないかな。
アメリカ: 何度でもやり直せる型 + GPA
アメリカに塾も予備校もほとんどないのは、大学に入るための一発入試がないからと言われてます。 それ自体は確かに良い事かも知れない。 ただ GPA に毒されているのが必ずしも良いものかはわかりません。 なぜなら突然やる気になっても、GPA で判断されれば、それを認められないことになるからです。 また名門大学に行くためには名門私立学校に入るための競争があり、学費はめちゃくちゃ高くなるし、より激しい競争がある。 なんか日本の私立の感覚に近い気がします。インド:東アジア以上に苛烈?
インドってどうなんだろうと思って調べてみると、3歳までのプレスクールにおける教育なども重視されており、 また小学生になるより前に算数を習っています。 カースト制度から逃れるために IT 教育も他国とは比較にならないほど進んでいるので、塾がどうこう以前の問題として、東アジア以上に苛烈そうです。 また発言や発表を大切にした教育など、欧米に近い教育が重視されているのも注目すべきポイントかも知れません。東アジアは全体的に熱心
台湾は IT化で一時期より減ったと言われていますが、大学進学率が非常に高いので勉強は非常に熱心です。 タイは日本からかなり塾が進出してますが、どれくらい激しいかはよくわかりません。 フィリピンは英語大国なので、塾以前の話として英語教育がすごく熱心です。 ベトナムも英語教室が人気とか。 インドネシアやマレーシアも日本から結構進出しているので、盛んそうな印象はありますが、実情はよくわかりません。その他:不明
中南米や中東だとどうなっているんだろうと思いましたが、情報は見つからず。 オーストラリアは補習塾や進学塾が一応あるみたいです。まとめ
結局のところ、塾があろうとなかろうと競争はどの国にも存在します。 中国で塾がなくなったとしても競争は残ります。 ニュースでいうところの塾が、筆記対策のことを意味しているなら、GPA 重視のアメリカ的な社会になるのかも知れません。 実際のところはもう少し経ってみないとわからなそうですが、詰め込み型から思考力への抜本的な改革と考えることもできそうです。日本なんかも関心・意欲・態度みたいな謎項目が追加されているので、GPA 型に分類される気はします。 ただ評価基準が謎で、昔も似たようなものはあったけど、ここまで酷くはなかったと思う。 学問の学び方は小中学校に閉じているものではないので、関心・意欲・態度のような尺度に何か意味があるのかなって思いますね。 GPA 型の欠点は、GPA を取ることだけに集中して、本質的な学びにならなくなってしまうことです。
しかし最近の中国はどこへ向かおうとしているのでしょうね。 香港、国内巨大IT規制強化、総量規制、仮想通貨の規制強化、塾の撤廃、ゲーム敵対視、意図的なクラッシュ。これらは何を意味するのでしょうか。 完璧な国家管理主義をどんどん目指しているように見えます。
そういえば中国には昔、科挙がありました。 いつなくなったのかと言えば、なんと明治の 1904年だったらしいです。 1895年の日清戦争に負けて見直したということになります。 こういった過去もあって、教育のドラスティックな改革に躊躇がなく、また実際に成果を出してきたからとも言えそうです。 下のリンクに書いてあることはとても参考になります。 科挙に通った人材は「暗記能力だけ」「受験生の資金不足」「試験問題が時代遅れ」「科挙に合格した官僚は数字にめっぽう弱い」とのことです。 また「実務能力に乏しく、科学技術的な知識を軽視して、文科的な知識を重視するので、科学技術が振興されない」などは、 形は若干形は違えども今の日本が直面している問題と同質のものに思えます。
- 中国科挙制度の廃止理由が超絶・理不尽すぎる!無能な宦官は必要なし!|世界の歴史
- 科挙はいつからいつまで行われた?問題点と廃止された理由
- 中国ではなぜ産業革命がおきなかったのか? 科挙の弊害 - NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん
ところで、Twitter でこんなものを見つけました。
100万回つぶやきたい
— 前田晃平 / 著書『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』🔥 (@coheemaeda) July 24, 2021
過去50年の米国の公共政策を評価した最新の論文によれば、もっとも費用対効果が高いのは子供の教育と健康への投資
そういった政策の多くは、子供が大人になった後の税収の増加や社会保障費の削減により、初期の支出を回収可能
なのに、日本はここ全然投資してない
MOTTAINAI😇 pic.twitter.com/6ieELML352
中国はめちゃくちゃ投資してるので、これもその一貫となるのかどうか。
その他の関連報道:
- 中国、ゲーム業界規制を強化-未成年は週3時間のみ利用可能 - Bloomberg
- Armの中国合弁企業がArmからの独立を宣言、一部ライセンスや中国市場の顧客をそのまま横取り - GIGAZINE
- 中国の日本テーマ施設、営業停止 「文化侵略」批判で: 日本経済新聞
- (世界点描) 中国、学習塾規制に高まる不満: 日本経済新聞 (家庭教師になって費用が学習塾に比べて5倍になったとか)
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