2023年3月13日月曜日

無料で利用しやすいサウンドフォントまとめ

js-synthesizer を使えば、Web 上でサウンドフォントを使った再生ができると知ってから、 まずは Web 上でも使えるサウンドフォントを探すことにしました。

著作権とライセンス

サウンドフォントの著作権をどう考えるかですが、本質部分では音色に著作権はありません。 とはいえ変なことはしないように心掛け真面目に考えます。 まず自分の楽器からサウンドフォントを作るのは自分の著作物なので OK ですし、そのサウンドフォントから許諾を得て色々遊ぶのはもちろん大丈夫です。 同様に他人が楽器から録音して転用許諾しているものを組み合わせるのも OK です。

シンセサイザーを合成したり演奏した音色を配布したり組み合わせるのも基本的に OK と思っています。 シンセサイザーは楽器として扱われるので、使用できなければ演奏できないし、録音できなければ不都合が大きすぎます。 普通は許可されており問題が生じないと認識しています。ただ結局のところライセンスをよく見るしかない気はします。 たとえばいくつかのソフトウェアシンセサイザーの LICENSE テキストを見てみると、「生成データの著作権はユーザにある」とありました。 このような条件が記載されていれば、録音→再配布も OK は間違いないでしょうね。 そして普通はそのような記述があるはずなので、大丈夫と判断しています。

明確に駄目なことももちろんあります。 一番わかりやすいのはシンセサイザーというより NES や SNES、アプリ、音楽プレイヤーからの音色の抽出です。 音色に著作権がなくても、楽曲を再生して抽出すると著作権の問題、再生しない抽出はリバースエンジニアリングの問題があるでしょう。 さらに音色を出力するチップなどにはライセンスがあったりするので色々危ない。 ゲームの外部録音もシンセサイザーとは異なり、「生成データの著作権はユーザにある」みたいな条項はまずありません。 よって目的外利用のためライセンスで禁止されている可能性が高く、複製権を侵害しているケースが多そうです。 ちなみにレコードなどの楽曲からのサンプリングも、同じような理由で著作権侵害にあたるので駄目です。 レコードは米国で事例もあります

このようなぶっこ抜きを作者以外が判別するのは難しいですが、たとえば Touhou.sf2 はどう見ても駄目です。 以上を踏まえて、音源をぶっこ抜いた可能性があるものは、リスク的に不採用にしています。 あと 有料のものを丸々サンプリングしたぜ! みたいなのがあるんですが、 著作権的には OK でも利用方法によっては営業妨害に当たる可能性があるので、さすがに使わないようにします。 サービスではライセンスが明確で、安全なものしか利用しにくいです。

Musical Artifacts から探してみた

サウンドフォントは Musical Artifacts というサイトにたくさんあります。 すべてチェックするのは無理なので、上位50件+他サイトのおすすめで、GM互換のものをチェックしてみました。 これだけでも大変で、ゲームボーイの再現フォントなどはライセンスチェックが大変のため除外しています。本当は使えるものもあるかも知れません。

真っ先に書いておくべきこととして、Musical Artifacts のライセンスはあまり当てになりません。 チェックはライセンスだけでなく説明を慎重に確認する必要があります。最初のチェックでは以下が使えそうでした。 しかし、×は NC のデータが含まれていたので不採用としました。 △は NES などを真似て作ったものなのか抽出したものなのかわからない項目があり、判断不能なので不採用としました。 リスクを最小化しようとすると、発祥を正確に説明されない限り、Chiptune のサポートは難しそうですね。 エミュレーターだけで音を再現できて、再現できたものを使うなら問題ない気もするのですが、わからない点が多過ぎます。 わからない以上は採用できません。このへんに厳密な解答をできる方がいればコメントを頂けると助かります。

先人の知恵を借りて探してみた

Musical Artifacts から探すのでは色々微妙なものが多すぎるので、 気になったサウンドフォントの名前などを使って情報収集して、さらにサウンドフォントを探す方式に切り替えました。 一部の超詳しい人を参考にするのが良さそう。特に参考になったのは以下のページです。 上記のページをすべて読んだ上で、ライセンス的に OK かつ、すぐに使えそうなサウンドフォントをまとめると以下でした。 128音に対応していない高音質なものでは以下もありますが、使いやすくはないです。 このリストの中でデータサイズが小さく音質も良いサウンドフォントは GeneralUser GS です。 Aspirin は配布サイトが行方不明かつバージョンがあり過ぎてよくわからないのですが、Aspirin_160_GMGS_2015 が最新版でしょうか。 軽く聴き比べしてみると、MuseScore_General は音の大きさが揃ってない気がします。 32MbGMStereo、Airfont、Aspirin、Fluid R3 GM はかなり独特で、デフォルトは採用しにくい気がします。 サウンドフォントは楽器が少ない時と多い時だと印象がまったく異なるので、楽器の多いバトルBGM などを聴くと差がよくわかります。 あとパーカッションで誤魔化しているケースが結構多くて、楽器単体でも強さを感じるフォントは意外と少ないです。 色々聴いてみた結論としては、GeneralUser GS 一択かなあと感じるようになりました。

TODO

今回まとめたサウンドフォントは、有名どころのフォントの良いまとめにはなっていると思います。 しかし Public Domain のサウンドフォントは他にもいくつかあることをわかっています。 音質の比較をし始めるとキリがないですし、ライセンスのチェックにも割と時間が掛かります。 今後は新たに人気のサウンドフォントが出てきたとき追加しようと思っています。 現状でも小サイズ、中サイズ、大サイズ、バランス重視、リアル重視の様々な選択肢が十分にあるので、今後はそれらを超える何かが欲しいところです。 やはり GeneralUser GS と同じくらい安定感がありつつ、少し違った音色で、同じくらいのサイズのものがもっと欲しいですかねえ。

たとえばいま一番興味があるサウンドフォントは Giant Soundfont ですが、絶賛更新中でライセンスがよくわからないので今は保留にしています。 他にも GMGeneric が使えそうな気もしているのですが、中身のライセンスがちょっとなので除外しました。

雑感

調査の過程でサウンドフォントについてもかなり詳しくなった気がします。 今は高音質な WAV 素材が無料でたくさんあるようで、サウンドフォントを作ること自体の自由度はかなり広がっています。 しかし音質が良いだけで良いサウンドフォントが作れる訳ではありません。 使えるレベルまで調整するほうが難しく、過去に調整されたものを超えるのはなかなか難しいです。

続きます。
  1. js-synthesizer で MIDI の新時代が来る
  2. 無料で利用しやすいサウンドフォントまとめ
  3. Web 上で使えるサウンドフォントをたくさん作った (次)


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