2021年2月19日金曜日

海外の著作物の利用についてまとめた

海外の著作物の利用について考えてみました。 もっと色々なところを参考にしているけど、特に参考にしたのは以下です。

アメリカの著作物とベルヌ条約

海外の著作物を利用する場合、まずはどのような条約下で利用できるか見る必要があります。 アメリカの著作物を日本 (ただしインターネット上) で利用する場合を考えてみましょう。 日本とアメリカはベルヌ条約を結んでいるので、条約下においてアメリカの著作物が利用できます。 利用する際には、使用する国 (日本) の法律に従う必要があります。 日本では相互主義の原則があるため、 外国の著作権法が保護する保護期間が日本の著作権法が保護する保護期間より短い場合、 短い方の外国の保護期間しか日本国内でも保護されないことになります。 まずはここが難しいところで、インターネットなど使用地の特定が難しい場合や、 グローバル利用の際には、 Term of use に日本法に従うと書いておくのは当然として、 もとの著作物の法律を考慮しておいたほうが良いと思います。

ベルヌ条約を結んでいない国のほうが少ないですが、結んでいなければ条件が変わります。 昔のアメリカは長いことベルヌ条約を批准しなかったので、日本とは 2カ国条約を結んできました。 1906/05/11 の日米著作権条約がそれに当たりますが、 1952/04/28 に廃棄が確認されたものの4年間の内国民待遇を維持する交換公文が取り交わされ、 1956/04/27 にそれまでの米国人の著作物について日本国内で内国民待遇が与えられています。 したがって、1956/04/27 以前に公表された米国人の著作物は、 日本において日本国著作権法の保護期間が適用されます。

3つの落とし穴

ただし戦時加算なるものが存在し、国ごとに固有の日数が加算されます。 国ごとの加算日数を覚えるのは困難なので、下に Wikipedia のリンクを残しておきます。 アメリカの場合、1941/12/08〜1952/04/27 の保護期間 3794日 (10年5ヶ月) が加算されます。 海外の著作物を使う時の一番の注意ポイントはここかな。 さらに TPP11 の影響で日本の著作権の保護期間は 2018/12/30 に 50年→70年になりました。 これまた難しい。 さらにさらに 法人著作権 (職務著作物) というものもあります。 法人格で出版したものに関しては、個人の著作権が切れても職務著作が残ります。 法人著作権の定義は国によって変わるので結構色々なチェックが必要です。 個人の著作権が切れても商標権やその他知的財産権は残るので、これも地雷になりやすそうです。

そんなこんなでなかなか難しいですが、アメリカの著作権の例を考えてみると、こんな感じになります。
  • 没年〜1940: 50年 (ただし法人著作権は75年)
  • 没年〜1967: 50年+戦時加算10年 (ただし法人著作権は最初の発行から 75年)
  • 没年1978〜: 70年+戦時加算10年 (ただし法人著作権は、最初の発行から 95年と創作年から120年の短いほう)

法人著作権は下手すると 200年近く使えないことになるので、なかなか強力です。 まずは法人著作権ではないことを確認することが大切そうです。 個人の著作物を安全に利用するなら、戦時加算を最大限考慮して以下のチェックをするのが良さそうです。
  • 没年〜1940: 50年 (OK!)
  • 没年〜1967: 61年 (1959年まではOK、それ以上は要確認)
  • 没年1968〜: 81年 (まだ無理)


しかし創作に25年掛かる事なんてあるかなあ…。

0 件のコメント: