2019年10月16日水曜日

WineHQ を使って Linux でも フリゲをしよう

WineHQ を使えば Linux でも Windows で動くゲームを楽しめます。

ただ初心者が Linux で WineHQ を使ってフリゲを動かすのはハードルがあります。 素晴らしい記事はいくつかあるものの、1 記事でワンパスが通っていないので、かなり迷う。 WineHQ も進化して設定がこなれてきて楽になってきているため、将来に向けて Ubuntu 18.04 でワンパスを通したメモを残しておきます。


まず WineHQ をインストールします。 WineHQ はもともと Wine という名前でしたが、名前が変わりインストールの仕方も変わりました。 公式の手順 を見たほうが安全ですが、現時点では以下でできます。 今回利用したバージョンは 4.0.2 です。 (追記: 最新の 5.0 も確認したけど、だいたい同じ感じ)

Ubuntu 18.04

sudo dpkg --add-architecture i386
wget -nc https://dl.winehq.org/wine-builds/winehq.key
sudo apt-key add winehq.key
sudo apt-add-repository 'deb https://dl.winehq.org/wine-builds/ubuntu/ bionic main'
sudo apt install --install-recommends winehq-stable
次に Winetricks をインストールします。apt でも入れられるけど、今は手動インストールが推奨されています
cd "${HOME}/Downloads"
wget  https://raw.githubusercontent.com/Winetricks/winetricks/master/src/winetricks
chmod +x winetricks


Ubuntu 20.04

ちなみに Ubuntu 20.04 ではもっと簡単になったみたいで、以下だけでいけました。
sudo apt install wine winetricks


WineHQ / Winetricks をインストールしたことで Windows のソフトを動かす最低限の準備は整いました。 次に Winetricks を使って RPG ツクールを動かすために必要なライブラリをインストールします。
sudo apt install cabextract  # directmusic/dsound に必要
# 全般
# winetricks allfonts  # 重いので以下のほうが良いかも
winetricks fakejapanese_ipamona
winetricks d3dx9
# 音源
winetricks quartz
winetricks gmdls
winetricks dmsynth
winetricks directmusic
winetricks dsound
winetricks devenum
たいていのゲームに使われてるライブラリは上記と思います。 ゲームごとに必要なライブラリが異なるので、動かなかった場合は以下のサイトを参考にして、ライブラリを追加してください。 とても詳しく書かれている。


次に MIDI を聴けるようにします。 MIDI は最近あまり使われなくなっていますが、フリゲと言えば MIDI なので、まとめておきます。

まずは Timidity や FluidSynth / Qsynth といったシンセサイザーをインストールした上で、サウンドフォントをインストールします。 シンセサイザーは私が動かせている Qsynth だけ説明します。Timidity / FluidSynth の設定の仕方がわかる方、教えてください。
# sudo apt install timidity timidity-interfaces-extra
sudo apt install fluidsynth qsynth
sudo apt install freepats fluid-soundfont-gm fluid-soundfont-gs
フリゲで MIDI を再生するためには、インストールするだけでは駄目で、Wine のレジストリ設定が必要です (参考)。 Qsynth を使う場合は以下のように設定します。
wine reg add "HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Multimedia\MIDIMap" /v "CurrentInstrument" /t REG_SZ /d "Synth input port (Qsynth1:0)"
レジストリの "Synth input port (Qsynth1:0)" が重要なところで、このポートにアクセスすることで MIDI を再生することになります。 そのため Qsynth 側でも対応する設定が必要になります。具体的には Qsynth を起動して以下の設定をしてください。



ここまで来ればだいたい設定完了です。 あとは RPG ツクールなどのランタイムをインストールしましょう。 そして Qsynth を起動したままにしてフリゲを実行すれば、MIDI も聴けるし、だいたいのものは動きます。
# RPGツクールのランタイムをインストール
wine RPG2000RTP.exe
# ゲームをインストールした後に、exeファイルを実行
wine RPG_RT.exe


だいたいのものは動く感じで、Nepheshelイストワール は気持ち良く動きました。 他には ここ のリストを参考にして、片道勇者天使のうつわ を確かめてみたところ、何の問題もなく動きました。ただ ふしぎの城のヘレン はうまく動かなかった。独自ビューの表示に何を使ってるかわかれば動きそうだけど、すぐにはわからなかった。

あと気になってる問題として、MIDI / MP3 なら大丈夫だけど WAV ファイルの音が出ない問題がある。 たとえば メイジの転生録 など。ヘッダを弄るパッチを当てたり、サウンドドライバを ALSA にして GStreamer をほにゃららすればできそうな気がするけど、いまいちよくわからなかった。 解決できる神の登場が待たれます。

動かない時に何が必要なのかわかりにくいのは難点ですね。 知見が共有されてくるともっと遊びやすくなりそうなので、安定利用にはもう少しというところでしょうか。

2019年10月11日金曜日

イギリスに学ぶ日本の影の金利

日経新聞で影の金利なるものを知ったので、少しだけ調べてみました。 影の金利は「量的緩和の下で採用された政策と同様の効果を政策金利の低下によって実現した場合における政策金利の水準」を推定したものであるらしい。 「緩和効果をすべて利下げに置き換えたらどうなるのかを示す指標」のほうがわかりやすいかな。 原文は論文巡りをしないと完全理解できないので、色々な日本語のサイトを参考にさせて頂いて、ほんのり理解に留めました。

まず影の金利による結論から言えば、米国が合理的な数値にコントロールしているのに対し、EUと日本はコントロールできていない。 特に日本は金利とのギャップが酷く、政策金利が-8%くらいのレベルまで量的緩和をしている。 実際にそんな金利にすると銀行が大変な事になるので、金利は大きく動かさず、日銀当座預金残高を増やして量的緩和を広げていますが、うまく行っているようには見えない。 これには色々な要因が絡み合っているし簡単ではないし、一言でも語れません。

私の解釈では、ほとんどの統計は計算方法の問題があり、統計は「こう計算すれば良い」と勝手に解釈できる余地が大きいと思ってます。 たとえばデフレータの計算は、庶民の意識に相当したものになっているかどうかが凄く大事だと思う。 その解釈が合っているかの検証になるのが、影の金利とも言え、このような検証に足りる精度を測定して運用することが、統計の運用だろうと思います。 アメリカの統計は理論と実践から検証してもだいたい正しく、そのためアメリカの統計で逆推定する記事もちらほらあって、私もそちらのほうが正しいと思ってる。 基幹統計も解釈次第で天と地ほど状況変わるから。


とは言え、この影の金利はどうするべきなのでしょう。もしくは他国はどうしたのでしょう。 影の金利関連の記事から辿って NZ 中央銀行のデータを見ていて、イギリスのグラフが気になりました。 回線の影響で重いため引用します。最新データは原文をどうぞ。 イギリスも影の金利が瞬間的に-8%まで行ったものの、今では0%付近に調整されている。 イギリスは日本と割とよく似た国であるため、参考になるのではないでしょうか。



イギリス復活 (?) の要因が何であったかはとても重要なことに思い、色々と調べてみました。 イギリスは2011年くらいまで労働組合の解体、製造業の海外移転があり、 そして2012年の移民政策の移民人口は影の金利とかなり一致しているように見えます。 移民政策で影の金利がゼロになるくらいまで賃金が変化した結果、影の金利がゼロに近付いたということでしょう。 -8%もの影の金利は政策金利でのコントロールは不可能だし、確かに移民は政策金利より効果が大きい。たぶん。 日本も普通に考えれば同じことが起きると思います。

イギリスは人口6600万人くらいのうち、950万人が移民と言われています。 イギリスの移民人口は毎年20-60万人増えています。適当に均して考えると10年で400万人。 流出人口からすると2倍くらいのペースで変化しているので、10年で800万人くらい変わったのかな。 社会が8%変化するためには500万人必要で、だいたいその数値に収まるし、500万人を超えたくらいで影の金利もゼロに戻ったように見える。パッと見では。


日本はイギリスと異なり慢性的な不景気だし、工業国過ぎる問題があるので、 維持したまま同じことをやると、もっと人が必要な可能性はあります。 仮にそのへんは無視して考えれば、1000万人の移民が必要とわかります。 ただ今のところ270万人しかいないし、10年間で70万人ほどの増加でしかないので、果てしない道程に感じる。

あと金利だけを見ていると見逃してしまいそうですが、移民とブレクジットの関係は少なからずあると思います。 影の金利をコントロールできない EU とコントロールできたイギリス。その違い。 理論だけでなく現実にも目を向けていくとなかなか興味深い。 思いの外、面白い知見が得られて良かったです。

他にも最近割と衝撃的なニュースとして、トヨタが利回り0%の社債を発行するとか。 これも一つの方法かも知れませんが、褒められたものではないと思います。 水面下では気になることが色々起きている。

2019年10月2日水曜日

フリゲ紹介: ぐーたら魔王のギルドライフ

ぐーたら魔王のギルドライフ は、プレイ 100 時間以上を想定した、長編探索 RPG。 プレイの感覚は らんだむダンジョン に非常によく似ています。



魔王が勇者に異世界に飛ばされ、飛ばされた村で不思議なダンジョンに潜り、ギルドライフを送るという、最近では典型的な異世界ものです (下)。 ただとてもよくできていて、やっぱり面白い作品は面白いのだとよくわかる作品です。 最近のフリゲはドットも絵も凄いクオリティですよね…。そして何より面白い。



最近は私も短編のほうが好きになっていますが、そういった層の人たちもよく考えて作られている気がしています。 4 時間くらいプレイした状態での感想ですが、まったく飽きない。 まずはとにかくイベントが多くて楽しい (左下)。イベント自体も面白いし、色々なところにイベントが隠されています。

ダンジョン (右下) に潜ると、7割くらいランダムマップで、3割くらいが固定マップになっています。 基本はランダムマップで、階層ボスやイベントステージなどでたまに固定マップに行けるイメージです。 固定マップも結構な種類があって、作り込みを感じます。



序盤はお金もレベルもないのでコロコロ死ぬのですが、難易度は非常にうまく調整されていて、進行をストレスに感じることはないと思います。 戦闘がサクサクなのもストレスを感じない一因かも知れません (左下)。 バランスもかなり調整されてそう。 仲間もどんどん増えて (右下)、仲間のスキルを活かすとボス戦はとても楽になったりします。



他にも武器を強化したり、素材を集めたり、クエストを受注したり、さまざまな要素がありますが、4 時間くらいだと未知数。 何となくの印象では素材集めは大変そうだけど、普通にプレイするぶんにはそんなに集めなくても良さそうな感じかな? (1.11 でもっと気楽にプレイできるようになったみたい)

完全クリアは遠そうなのでひとまずの感想ですが、ハイレベルな作品なので安心しておすすめできます。 最近は凄い作品がゴロゴロ出てくるなあ。

フリゲ紹介: Fanastasis

Fanastasis は、本編クリアまでに 25-35時間くらいのプレイ時間を想定した長編探索RPG。 とはいえ本編後の追加ストーリーも繋がりが深いので、加えると45-55時間くらいの大作です。 β版の頃からプレイしていたのですが、ついに完成とのことです (2020-11-10)。 とても面白い作品で、プレイ感覚はライトな イストワール という印象です。



唐突に精神空間「牢獄の間」に召喚された主人公が、自分の記憶を探り「真の姿」を取り戻すことを目指す探索 RPG です (左下)。 最初は多くは語られませんが、ダンジョンそのものが自分の記憶に結び付いているようで、探索を深めることによって、プレイヤーも主人公も、ストーリーが見えてくる作品になっている。 探索のマップは固定マップでかなり広いけど、ストレスなく探索できるシンプルな設計です (右下)。 「牢獄の間」から様々な場所へジャンプできるので、探索はかなりサクサク進みます。



割と色々なプレイの仕方ができる作品で、面白いと思います。 シンボルエンカウントで、敵がそこまで襲ってくる訳でもないので、私は途中まで最小戦闘縛りプレイをしていました。 数回だけ最小とは思えない戦闘をしてしまったのですが、たぶんやりくりすれば最小戦闘縛りできるようになっていると思う。

最小縛り的にプレイすると、ひたすら潜って宝箱を集めるゲームになるのですが、十二分に楽しめています。 イストワール のように隠し部屋がたくさんあり、とても面白いです (左下)。 何度プレイしても「あっここ宝箱を取り忘れてた」というのが結構出てくる、深さを感じる作り込みです。 中盤くらいのギミックは神がかってて、凄いと思いました。特に湿地帯。 そして終盤に向かうにつれての熱中度の高さ、素晴らしい。
最低限のボス戦 (右下) はこなしていく必要はありますが、中盤くらいから仲間も増え、探索可能範囲も一気に広がってきて、どんどん楽しくなります。 様々な特性のある仲間がたくさん居て、色々なプレイが楽しめます。



β版でも十二分に楽しめる完成度でしたが、正式版も凄い完成度です。 まずはストーリーの深さ、真相の深さが凄い。 ラスボスを倒して終わりという訳ではなく、その裏にある真相こそがむしろ本編にも思えます。 ここまで深く練り込まれた作品は、そうそうない気がする。 ぜひ自分の手で、真実を見つけてみてください。

大作なので「なんか重要なこと言ってたような…」とか「このへんに開けられない扉があったような…」と、記憶しきれない人もいるかも知れません。 そんな人は、スクリーンショット機能があるので、ぜひ活用しましょう。 「重要そうなことはとりあえずメモっておく」を覚えておくだけで、捗って楽しめますよ。

正式版になって多少難易度が上昇し、強ボス戦ではキャラの使い分けが大事になった感じがします。 たくさん仲間がいるので、メンバー選びも楽しめて良いですね。 私は結局のところ全メンバーを使いました。みんな特色があってキャラ立ちもしています。


ところで Fanastasis ってどういう意味なんでしょうね。 私の予想は fana + stasis で「完全なる合一状態で均衡すること」と思ってます。 物語の目的に合ってるし、これかなあ。

2019年10月1日火曜日

Windows のファイラーを CraftFiler (内骨格) にした

ファイラーはどんな OS でも使うので、意外と重要性の高いツールだと思っています。 Windows 標準のエクスプローラはどんなにマシン性能が高くてもすぐ落ちるので、ストレスが半端ないんですよね。

私は Windows 時代 (昔) に DF の使いやすさに目覚めたものの、Linux に完全移行するに当たって VimFiler の使いやすさに目覚め、 そして久々に Windows をセットアップしようとして、Vim の依存性が増え過ぎていることに困りました。 Chocolatey から VimFiler を使おうとすると以下が必要になる。動くんだけど何かなあ。
choco install curl python pip make mingw neovim
sudo pip install --upgrade pip
pip install neovim


Chocolatey で簡単にインストールできるファイラがないか探したのですが、なかなかしっくりこない。 海外製ターミナルファイラーのほとんどは Linux でしか動かないし、動いても操作性がかなり違うのがキツイ。 ターミナルファイラーはキーバインドで処理するから早い一方で、流派が 3 つくらいあるせいで移行が大変になってしまっている。 念のため書いておくと遥か昔の設定ファイルをコピペしても良かったのですが、色々使わなくなった機能もあり、せっかくなのでモダンなインストールをしたかったのです。

Linux でもともと使っている lf は簡単そうと思い、Windows で確認してみたのですが、 表示が崩れたり、動作に問題があったりして、現状ではまだβ版な感じがします。 fzf で自作ファイラーでも良いかとも思ったのですが、こちらもどうにも動作がおぼつかない。 良いファイラーがないかと思いながら Chocolatey を見ていたら、Cfiler というのがあったので使ってみました。



よくよく見てみると Cfiler は略称で、CraftFiler (内骨格) ではないか。懐かし過ぎる。 せっかくなので色々使ってみたところ、めちゃくちゃいい。凄く使いやすくなってる。 日本製の有名な 2 画面ファイラー (VimFiler、あふだいなファイラーDFPaper Plane xUI) などと比べて良いと思う点は 2 つある。 (1) UI の挙動が完全に安全サイドに倒されていて安心でき、(2) ほとんど何も設定しないで良いところです。

昔だったら Fire File Copy とか FastCopy を頑張って設定したものだけど、今なら CraftFiler (内骨格) くらいの非同期処理が入っていれば十分と感じる。 正規表現で一括リネームできるので、セーブデータの保存に便利で良いです。 キーバインドが複数用意されているのが良くて、あふ風キーバインドは無設定でしっくりきました。 全体的にかなりうまく機能がまとまっている。

あふPaper Plane xUI のほうが高機能だし軽いけど、CraftFiler (内骨格) は Chocolatey で気楽にインストールできるし使いやすいので、今後も使ってみようと思いました。 可能な限り設定をしたくない人には合ってるかも知れない。